(第1回)
ギリシア極左政権とユーロ危機
平井俊顕
1. 極左シリザ党はなぜ勝利したのか
2000年代前半、EU経済にあって、ドイツ・フランスの大銀行は保有する貯蓄をギリシアやスペインなどに(政府および民間部門の双方へ)膨大な額を貸し続けた。ドイツ国民のほとんど(メルケル、メディアを筆頭に)は、借りた国民の行動を論難しているのだが、それは公平な見方ではない。貸した銀行にも同等、いやそれ以上の責任はあるのである。
現在、ギリシア政府は3200億ユーロという膨大な債務を抱えている。トロイカ(EC,ECB,IMF)は、このうち2400億ユーロを救済資金 (「ベイルアウト」) として貸し付けてきた (贈与ではなく、有利子で貸し付けてきた)。ところがこのうちの90%は、ドイツ、フランスの銀行に流れ、ギリシア国内に流れたのはわずか10%でしかない。これが意味することは、ドイツ、フランスの銀行は不良債権をトロイカに肩代わりしてもらうことで救済され(ジャンクと化したギリシア国債をトロイカが買い取ったということ。一体、市場評価のつかない国債にいかなる値を付けたのだろうかは大いに問題となるところである。それ自体、ドイツ、フランスの銀行を救済していることになるからである)、いまでは問題は、貸主トロイカと借り手ギリシア政府という構図に変わっているということである。つまりは、ドイツ、フランスの民間銀行は、この時点でトロイカにより救済されたことを意味する。そしてトロイカは、救済資金の供与の条件として、ギリシアにたいしいわゆる「超緊縮財政」の断行を、いまに至るまでいくども「命令」し続けてきている。救済資金は分割で貸し付けられ、その都度、それまでの命令事項がどの程度実行されているのかをチェックし、それに応じて次回の分割のさいに、新たなる「超緊縮財政」を「命令」するという方式、である。
資産家はとうの昔に資産をロンドンやフランクフルト、あるいはスイスの銀行に移してしまっている(「ラガルド・リスト」を想起されたい)。またギリシアの教育水準は高いので(高かったというべきか)、職を得られなった高学歴の若者は海外に脱出しており、その数は数10万人に達している。すぐれた知能の海外への流出が生じてしまっているのである。現代的なかたちでのエクスパット(expat)の復活である。
そして残されたギリシア国民にたいしては、トロイカの指令にしたがっての苛酷な増税と、年金カット、リストラが、この5年間実行されてきており、その結果、26%の失業率、若者の失業率に至っては60%、GDPは危機前の7割といった残酷なまでの状態を現出してしまっている。しかもその結果、ギリシアの債務は減るどころか増え続けて今日に至っているのである。
こうした状況下で支配政党(この40年間、二大政党が支配してきた)に絶望する人が多数出るのは自然の理である。そこにシリザ党が、きわめて希望的な政策を公約してきたから、そしてツィプラスの魅力もあり、人々は一縷の望みをシリザに託したのである。
こうした状況下で支配政党(この40年間、二大政党が支配してきた)に絶望する人が多数出るのは自然の理である。そこにシリザ党が、きわめて希望的な政策を公約してきたから、そしてツィプラスの魅力もあり、人々は一縷の望みをシリザに託したのである。
「ベイルアウト+超緊縮政策の命令」がこれまでEU首脳がとってきたスタンスであり、いまもそれを貫徹しようとしている。この政策は、本質的にユーロ・システムを死守し、そして銀行組織を救済することをのみ目的とするものであり、ギリシア経済にたいしては超緊縮のみを押しつけ、そしてギリシア国民の生活はいかなる状況になろうともそれには関知しないという残酷なものである。
その結果、昨年にはユーロ・システムは危機を脱したかのように受け止められ、喧伝されてきていた。だが、それは皮相な見方であり、政治的、社会的に極度の不安定さを助長させ続けるものであった。昨年5月の欧州議会選挙で、驚くほどの数の極右政党からの当選が生じたのがそれを象徴している。トロイカ政策は、ユーロ・システムの安定に拘泥し、メンバー国の厚生に何の関心も払わなかったために、EU内部に極度の政治的・社会的不安定さを招来してしまうことになったのである。極右政党はすべからく、反ユーロ、反EUであり、かつ純潔的なナショナリズムを標榜している(そのため、イスラム教徒の追放ばかりか、ユダヤ人の追放も唱道している)。
このことが爆発して実現したのが、今回のシリザ党の勝利である。本来であれば、極左のこの政党が政権を取るということ自体、あり得なかったであろう話である。これは、つまるところ、トロイカならびに既成政党が、ギリシア国民をそういう選択に追いやったということなのである (シリザが極左であるとすれば、極右 (ネオ・ナチ) は「黄金の夜明け党」である。少し前には、この党がかなり大きく成長していたが、前の政権が弾圧して指導者を逮捕したことで、勢いにかげりがみられた。そのこともシリザにはプラスに作用したと言える。だが、今回の選挙でも第3位になっている。ギリシアは極左と極右が大きな力をもつ分裂した状況におかれているのである。ギリシア危機が発生した頃には、考えられなかった事態の出現なのである)。
ツィプラスがヨーロッパの今後の台風の目になることは確実である。オランドが大統領に当選したときに、「ドイツに対抗する路線の旗頭」として期待され、かつ自らをそういうおいていた地位である。ところが、いまやオランドはドイツのいいなり状況に堕してしまっており、その役割はツィプラスに委ねられている。
2. 新政府の電光石火の行動とドイツとの対立
極左シリザ党がギリシアの総選挙で149議席を獲得した。全部で300議席なのであと2議席あれば組閣が可能であったが、ツィプラスは即座に、極右の独立ギリシア党 (Anel. ほぼ5%の得票を得た) との連立を組み、自らは首相になった。さらにツィプラスは即座にトロイカとの対決交渉に立つ人物としてバロウファキスを財相に任命した。まさに驚きの、かつ電光石火の決定であった。
ギリシア新政府は、「トロイカとの交渉はせず、ユーロ・メンバー国政府と一対一の交渉を行なう」という方針を打ち出して、活動を開始した。そして具体的な方針として、「債務2400億ユーロの半分を棒引きにし、トロイカに押し付けられている超緊縮指令を廃棄する」ということを打ち出した。
ここまで来て、メルケルが簡単に引けないのも事実であろう。ギリシア債権のヘアカット、それに超緊縮遂行方針を少しでも緩和するようなことがあれば、すでに言及したような激変している政治的状況にあって、スペイン(ポデモス)やイタリアなどで同様の動きが活発化することは必定で、そうなればメルケルの政治的地位も一気にあやういものとなる可能性がある。事実、ドイツ政府は「ヘアカットはすでに民間投資家、銀行がこれまでに行なっており、これ以上、するつもりはない。新政府は前政府がトロイカと約束したことを実行せよ」という旨の方針を改めて公表している。それに、ドイツ国内の圧倒的な世論はメルケルがそうした妥協をみせることをまったく許容しないというものでもある。
この状態が続くと、2月末のトロイカからの(最後の)分割金が途絶えることになる。かつ、その後の融資交渉も前の政権のときに成立することなく現在に至っている。
そうなればギリシアは国債の返済ができなくなり、デフォルトを引き起こす。こうなったとき、どうなるのだろうか。ロシア(1998年)やアルゼンチン (2001年)のときのデフォルトと決定的に異なるのは、ギリシアがユーロという共通通貨圏の一員であるという点である。それはギリシアだけに影響して、ユーロ・システムの安定には影響しない、などと言える状況ではありえない。だからメルケルも「ギリシアはユーロ圏にとどまるべきである」的発言を繰り返している。
ギリシアに関して言えば、ギリシアはユーロ圏にとどまったままでいられるのか、それとも新たにドラクマをつくり離脱する(いわゆるGrexit)のかである(EU圏内に留まることは体制上はあり得る)。このときは、債務の棒引きを一方的に宣言することは可能ではあろう。だが、ドラクマがスムーズに通用するのだろうか。ドラクマに変えるといっても、こうした状況下でそのようなことがスムーズにできる話ではない。
そうなればギリシアは国債の返済ができなくなり、デフォルトを引き起こす。こうなったとき、どうなるのだろうか。ロシア(1998年)やアルゼンチン (2001年)のときのデフォルトと決定的に異なるのは、ギリシアがユーロという共通通貨圏の一員であるという点である。それはギリシアだけに影響して、ユーロ・システムの安定には影響しない、などと言える状況ではありえない。だからメルケルも「ギリシアはユーロ圏にとどまるべきである」的発言を繰り返している。
ギリシアに関して言えば、ギリシアはユーロ圏にとどまったままでいられるのか、それとも新たにドラクマをつくり離脱する(いわゆるGrexit)のかである(EU圏内に留まることは体制上はあり得る)。このときは、債務の棒引きを一方的に宣言することは可能ではあろう。だが、ドラクマがスムーズに通用するのだろうか。ドラクマに変えるといっても、こうした状況下でそのようなことがスムーズにできる話ではない。
ティプラスが首相になって最初に訪問した場所がある。それはナチによって1944年虐殺された200人の共産党員の祈念塔である。 ティプラスはそこに赴き、花束を添えた。これはいろいろな意味が込められた決意表明と受け止めらるものである。
ギリシア国民は第二次大戦によって翻弄されたという歴史をもっている。ナチの追放に大きな功績のあった抵抗運動(その中心は共産主義者であった)が、イギリスは、ナチに協力していたグループが、その後ギリシアを支配することを許したのである。さらに言えば東西冷戦体制の幕開けは、他ならぬギリシアの地始まっている(「トルーマン・ドクトリン」)。
こうした歴史的遺恨・屈折がある。これからドイツとの交渉に入らんとしているギリシアとはこういう国であり、いまそのことを全面に表に出して交渉に臨もうとしているのである。ドイツは1953年のロンドン会議で第一次大戦(第二次大戦ではない)からたまっていた賠償額の棒引きが認められることにより、戦後の経済復興の足がかりをつくったとされる。ギリシア人には、そしてこの新政権にはこの思いは強い。
ギリシア国民は第二次大戦によって翻弄されたという歴史をもっている。ナチの追放に大きな功績のあった抵抗運動(その中心は共産主義者であった)が、イギリスは、ナチに協力していたグループが、その後ギリシアを支配することを許したのである。さらに言えば東西冷戦体制の幕開けは、他ならぬギリシアの地始まっている(「トルーマン・ドクトリン」)。
こうした歴史的遺恨・屈折がある。これからドイツとの交渉に入らんとしているギリシアとはこういう国であり、いまそのことを全面に表に出して交渉に臨もうとしているのである。ドイツは1953年のロンドン会議で第一次大戦(第二次大戦ではない)からたまっていた賠償額の棒引きが認められることにより、戦後の経済復興の足がかりをつくったとされる。ギリシア人には、そしてこの新政権にはこの思いは強い。
3. 新政権の与党
この選挙というか、ギリシアの政治状況が異常であるのは、次に示すように日を見るより明らかである。
なにせ、シリザ党は3年ほどまえに、マオイスト、トロツキスト、ユーロ・コミュニスト(ティプラスはここに属する)、グリーンの寄せ集まりでできた政党である。いったい、この烏合の衆で何を目標に政権運営ができるのか。これは少し頭を冷やして考えれば、だれでもが疑問に思うことである。だが、現実はシリザの圧勝である。人々はシリザの圧勝、ツィプラスの台頭に今熱狂しているわけだが、これはすぐに終わるかもしれない(オバマの時を考えて見られよ。就任当時にワシントンを埋め尽くした群衆はいまはいない)。
それにシリザ党が党としてはたして今後機能できるのかという疑問もつきまとう。ツィプラスは選挙が近付くにつれ、かなり過激なトーンを避け、穏当なトーンに変えていったのだが、堂内にはきわめて戦闘的な派閥がある。ツィプラスがこうした集団をここまで率いてこれたのは、彼の政治的指導力があったからだと思うが、それでも、このハチャメチャな党内構成では、これから控えている難関を突破するには、相当ハードルは高いことは間違いのないところである。
それにシリザ党が党としてはたして今後機能できるのかという疑問もつきまとう。ツィプラスは選挙が近付くにつれ、かなり過激なトーンを避け、穏当なトーンに変えていったのだが、堂内にはきわめて戦闘的な派閥がある。ツィプラスがこうした集団をここまで率いてこれたのは、彼の政治的指導力があったからだと思うが、それでも、このハチャメチャな党内構成では、これから控えている難関を突破するには、相当ハードルは高いことは間違いのないところである。
「独立ギリシア党」(Anel党)党首カメノスは、先日、ユダヤ人は税金を払わないという発言をしているが、移民・難民にたいして厳しい姿勢をとっており、この点では「黄金の夜明け党」と同じスタンスである。ギリシアはイタリアとともに、中東や北アフリカの戦闘状態から逃れ、ヨーロッパに向かう大群の難民が押し寄せてきている地域である。
「独立ギリシア」という名にはそうした民族主義的調子も込められている。そして、カメノスは、「現在EUはドイツのネオ・ナチによって支配されている」、と述べている。さらに、彼はナチによるギリシア占領と彼らが行なった残虐な行為にたいし賠償を要求している。
この極左と極右の2つの政党 で構成されるギリシア政府は、いつまで連携を保つことができるのかは、だれしも疑問に思うところであろう。トロイカ路線を守らないという点では明確な共闘は可能ではあるが、それ以外では大きく考えが異なる両党である。
4. 各国の反応
すでにみたように、ドイツは、かたくなな姿勢を取り続けている。「借りたものはきちんと返しなさい。棒引きなど論外」と。ただ1つ例外があり、AfD党はシリザに支持の表明を送っている。この党はこれまでユーロ懐疑派であったのだが、いま反移民的色彩をもった党になることも考慮しているようである。
スペインではポデモスによる運動が大きな盛り上がりをみせている。シリザとの共闘体制ができあがっていけば、状況はドイツの思い通りにならなくなる可能性もでてくるであろう。総選挙はまだ先だが、重要な地方選挙がまもなく行なわれので、その結果はかなり重要な意味をもっている。
1つのカギはフランスにある。オランドがこうした動きにおいて、メルケルの尻に敷かれたままでいるのか、それとも当選したときのことを再考し反省する力があるのかである。フランス経済自身、非常に疲弊している。これまでの実績からみると、そうしたカリスマ的なリーダーシップをオランドに求めるのは無理であろう。実際、オランドはメルケルと会い、メルケルの考えに同意している。「決めた約束をちゃんと守るのは重要なこと」という同意である。オランドは大統領に就任したときのスタンスをすっかり放棄してしまっている。
そのこともあり、おそらくフランスの政治情勢は、すでに不安定なのだが、益々不安定度を増すことであろう。第1に、社会党左派はシリザの勝利にわいており、オランドにたいする不満を増大させている。左派は、以前からオランドを許し難いほど「リベラル」だと批判してきているのである(フランスでいう「リベラル」は「ネオ・リベラル」という意味に近い。アメリカでいう「リベラル」とはまったく意味が異なるので注意が必要である)。第2に、ルパンのナショナル・フロント党がギリシア政府の動きに賛同しており、今後さらに大きな支持を得ていくことが考えられる。ルパンはオランドよりはるかに人気を獲得しているのが現状である。
1つのカギはフランスにある。オランドがこうした動きにおいて、メルケルの尻に敷かれたままでいるのか、それとも当選したときのことを再考し反省する力があるのかである。フランス経済自身、非常に疲弊している。これまでの実績からみると、そうしたカリスマ的なリーダーシップをオランドに求めるのは無理であろう。実際、オランドはメルケルと会い、メルケルの考えに同意している。「決めた約束をちゃんと守るのは重要なこと」という同意である。オランドは大統領に就任したときのスタンスをすっかり放棄してしまっている。
そのこともあり、おそらくフランスの政治情勢は、すでに不安定なのだが、益々不安定度を増すことであろう。第1に、社会党左派はシリザの勝利にわいており、オランドにたいする不満を増大させている。左派は、以前からオランドを許し難いほど「リベラル」だと批判してきているのである(フランスでいう「リベラル」は「ネオ・リベラル」という意味に近い。アメリカでいう「リベラル」とはまったく意味が異なるので注意が必要である)。第2に、ルパンのナショナル・フロント党がギリシア政府の動きに賛同しており、今後さらに大きな支持を得ていくことが考えられる。ルパンはオランドよりはるかに人気を獲得しているのが現状である。
イタリアではベッペの「5つ星運動」がシリザにエールを送った。レンティ首相は、「リベラル」な政策(構造改革)を遂行しようとしており、反対派からの批判が激しく生じている。シリザの勝利は反対派を勢いづかせるであろう。それに、先日の大統領選挙でベルルスコーニとの決裂が生じ、政権の母体が一層脆弱化する傾向をみせることが予想される。
6. 今後の動き
不況と債務に苦しむメンバー国がドイツにたいし、そしてトロイカにたいし共同路線をとれるかどうかが大きな争点になることであろう。
いまEUにはユーロ懐疑派の勢力が多くある。だが、彼らの多くは、シリザ党
とは真逆の極右である。彼らが自己主張をすることは間違いがない。それはジュニア・パートナーとなった独立ギリシア党の立場でもある。だから連携の可能性があるのか、となると、現状ではないとも言えない。が、いつまで続くのか、これもまた非常に難しいことであろう。
いまEUにはユーロ懐疑派の勢力が多くある。だが、彼らの多くは、シリザ党
とは真逆の極右である。彼らが自己主張をすることは間違いがない。それはジュニア・パートナーとなった独立ギリシア党の立場でもある。だから連携の可能性があるのか、となると、現状ではないとも言えない。が、いつまで続くのか、これもまた非常に難しいことであろう。
ギリシアは小国であるが、大きな力をもっていると言える。同じような状況にある国、とくにスペインがある。さらにイタリアも然りである。
つまり、ギリシアの行動は、他のユーロ圏で同様の問題を抱える国の政治状況を大きくシフトさせる力を、たんなる可能性ではなく、現実性としてもつに至っている。EU指導部はかじ取りを間違えると、大きな痛手をこうむることになる。ツィプラスがそれを計算に入れて、ポデモスなどとの国際的な共闘を展開することでトロイカに圧力をかける、ということが大いに考えられる。それがギリシアにとって、そして反トロイカ勢力にとって最大の武器になると思う。
つまり、ギリシアの行動は、他のユーロ圏で同様の問題を抱える国の政治状況を大きくシフトさせる力を、たんなる可能性ではなく、現実性としてもつに至っている。EU指導部はかじ取りを間違えると、大きな痛手をこうむることになる。ツィプラスがそれを計算に入れて、ポデモスなどとの国際的な共闘を展開することでトロイカに圧力をかける、ということが大いに考えられる。それがギリシアにとって、そして反トロイカ勢力にとって最大の武器になると思う。
ヨーロッパで左派、しかも極左が政権をとるということは、他のEUでは考えられない。ポデモスは伝統的意味での左派ではない。そしてほとんどの地域では、むしろ極右が大きな政治勢力となっている。それにより、反イスラムではおさまらず、必ず反ユダヤが付随して回っている(そしてイスラムはユダヤを敵視しているという複雑な構図がある)。この状況下、不安に駆られたユダヤ人は、集団でそうした行動を禁止する法案を要請するような運動を起こしている。
最後にプーチン。ロシアはシリザの勝利に大々的な祝福のメッセージを送っている。EUとロシアは非常に冷たい関係に陥ったままであるから、ロシアにとってこの出来事は望ましいからであろう。分裂することでEUの力は弱体化するからである。
最後にプーチン。ロシアはシリザの勝利に大々的な祝福のメッセージを送っている。EUとロシアは非常に冷たい関係に陥ったままであるから、ロシアにとってこの出来事は望ましいからであろう。分裂することでEUの力は弱体化するからである。
7. むすび
ヨーロッパの大国といえば、ドイツ、フランス、そしてイタリアである。既述のように、フランスはかつての指導権が喪失してしまっている。イタリアは、ブンガブンガのベルルスコーニが20年にわたって政界を牛耳ってきており、長年にわたって信頼を得られるような状況にはない。EUは、加えて旧共産圏諸国まで、グループに引き入れてしまっており、膨張することで自壊する危険性を増大させてきている。
EUは残し、ユーロを、秩序をもって廃止する道が望ましいのかもしれない。政治的統合という無謀なことを目指すのではなく、従来の経済的統合を追求した方が現実的である。中途半端なユーロ・システムを、見切り発車させたことで、メンバー国は国としての独立性を喪失しており、その結果、自国民の経済状態は置き去りにされたままである。この状態が2009年末から続いているのである。
EUは残し、ユーロを、秩序をもって廃止する道が望ましいのかもしれない。政治的統合という無謀なことを目指すのではなく、従来の経済的統合を追求した方が現実的である。中途半端なユーロ・システムを、見切り発車させたことで、メンバー国は国としての独立性を喪失しており、その結果、自国民の経済状態は置き去りにされたままである。この状態が2009年末から続いているのである。
さらに、EUはぶざまなまでに拡大を続けてしまった。ソ連の崩壊による空白に入り込んだだけではなく、NATOにより軍事的な拡大まで遂行し、醜いまでに巨大化している。おまけに財政問題の調整を行なわないまま(安定成長合意は紳士協定であった)、ユーロ・システムに走ったのである。そのつけがいま来ている。
非常に先行きが不透明である。そうした折り、東ウクライナの状況が再び緊迫化している。ロシア側からの地政学的ゆさぶりであると考えるのが自然であろう。
ギリシアの経済がきわめていびつであり、腐敗もすごいということがよく言われる。そうだと思う。だが、そうした国をユーロ・システムに引き入れたのはほかならぬEU指導部であり、しかもゴールドマン・サックスが条件を満たさないギリシアに「悪智恵」を授けたことは、周知の事実である。ギリシアの資本主義がいびつであるとしても、当時、それをだれも問題にしなかったのである。それに27カ国もあるメンバー国にあって、資本主義システムがギリシアより劣るところはいくつも存在している。つまり、構造的な理由でもってギリシアの惨状を語ることは、ギリシア危機を処するうえで、それほど意味がないということである。
非常に先行きが不透明である。そうした折り、東ウクライナの状況が再び緊迫化している。ロシア側からの地政学的ゆさぶりであると考えるのが自然であろう。
ギリシアの経済がきわめていびつであり、腐敗もすごいということがよく言われる。そうだと思う。だが、そうした国をユーロ・システムに引き入れたのはほかならぬEU指導部であり、しかもゴールドマン・サックスが条件を満たさないギリシアに「悪智恵」を授けたことは、周知の事実である。ギリシアの資本主義がいびつであるとしても、当時、それをだれも問題にしなかったのである。それに27カ国もあるメンバー国にあって、資本主義システムがギリシアより劣るところはいくつも存在している。つまり、構造的な理由でもってギリシアの惨状を語ることは、ギリシア危機を処するうえで、それほど意味がないということである。

