2013年8月24日土曜日

米英国際通貨交渉 - 1943.10 - 1944.4

米英国際通貨交渉 - 1943.10 - 1944.4

1943.10.12 Anglo-American Draft Statement of Principles - Joint statement by experts of united and associated nations on the establishment of an international stablisation fund

ケインズが滞米中に行ったホワイト側との交渉の成果が上記である。イギリス側は、これに留保条件をつけ、「ユニタスの貨幣化」を前提にしたものを付録的に付けていた。が、しょせんこれは誰が見ても付属品でやがて消滅する運命にあるものであった(実際に、そうなった)。

ケインズが帰国後、翌年の4月までに、上記のドラフトは7回も改訂が加えられている。

モグリッジはその状況をまとめているが、ほぼ次のとおりである。
pp.392-393

・金での拠出問題 ・・・12月の案でのアメリカ側の見解を受諾
・拠出金の不胎化問題・・・12月にアメリカ側の見解を承認 (基金は金を取引に使える)イギリスは担保として位置づけていた。

・為替レートの変更問題・・・アメリカ側の見解を了承

・金での引き出しの支払い・・・アメリカ側の見解を承認。
(基金から他のメンバー国の貨幣を金で購入する場合の話)

・資本目的の引き出し・・・アメリカ案が1月に承認された

・再購入条項
 
・ユニタスの貨幣化・・・4月のヴァージョンでイギリス側、諦める

というわけで、ほとんど改訂されたのはアメリカ側の主張をイギリスが受け入れるという内容のものであった。

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12.7 オーパイ宛ケインズの書簡

・2つの問題の指摘 (1)ユニタスの貨幣化ヴァージョンにこだわることの重要性、(2)the need of being cearler about what happens during the transitional period

そしていま重要なのは(2)であると論じている(つまり(1)へのこだわりは弱まっているという感じがする)

I have every natural reason for vastly preferring this set-up. I cannot persuade myself that the difference between two versions is really such as to make it a justifiable reason for an ultimate breach. p.394

(ケインズ案の方がずっと好ましい。が、両案の相違にこだわって破局にいたっていいものとも思えない。)

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さてこの時期の状況を描写したものにイーディによるものがあり、非常に参考になる。ケインズが持ち帰ってきた案にたいするイギリス側の不協和音が聞こえてくる感じである。

・ケインズ、ロバートソン・・・全面的にドラフトを推進する立場

(ただ、ケインズはドラフトではイギリスが必要とする資金を得るには不十分すぎるので、アメリカに出かけていって資金交渉が不可欠である、という判断ももっていた。実際、1945年ケインズは多額の借款交渉を行っている。)

・Waley, Henderson...あまり熱心ではない、というか、批判的にみている。

・Bank of England ... 反対派。これまで有していた裁量権を大幅にそがれる恐れ。スターリング残高問題。"passivity"への疑念。

(この問題は、インドなどが大量のイギリス国債を保有しており、これらが戦後開放されるとイギリスは極端な金融危機に陥るという問題。実際、1949年にこの問題が顕在化して、ポンド・スターリングは大幅な下落をみた。インドが大量の国債を売る、そして得たポンドをドルにかえる、するとポンドが暴落する、そこで外為市場に介入してポンド買、ドル売を実行する。が、ドルは底をつく、というような話)

・基金の運営・・・アメリカに牛耳られるという現実的恐れ強し

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・イーディがこの文書のなかで吐露している次の言葉が印象的である。

Although very substantial modifications have been made, general strucure of shceme is the same original American scheme. Attitude and technique is derived from Equalisation Fund technique... p.397

いろいろと改訂されているが、所詮、オリジナルのアメリカ案の枠内にとどまっている

(金利平衡化基金のことが出てきているのが興味を引く)

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1944.2.7

ここでケインズはアメリカ側の案をほとんど承認する状況になっている。

An international money of account, unitas, was mentioned in the Stabilisation Fund proposals but was only mentioned to be forgotten and played no effective part. Now this difference, however important,is nevertheless only a matter of technical form. A given set of proposals can be drfated in terms of either set-up so as to be identical in substance and legal effect. p.405

アメリカからの資金援助が欲しいとの本心

we cannot enter into this scheme IMF system) unless there is an assurance of our not being expected to us its facilities prematurely (なけなしの資金を請求に出さなくともいいとの確約), and ... we cannot have any such assurance until they (the US) have given us some indication of the financial regime suceeding the lend lease phase (レンド・リースに続く金融レジームのことで何らかの示唆がアメリカから欲しい)... p.407