2013年8月23日金曜日

金融規制改革の現状 ー イギリスとユーロ圏

金融規制改革の現状 ー イギリスとユーロ圏

イギリス - ヴィッカーズ報告は、イギリスで検討が進められてきた金融規制改革についての重要な報告 (4月に中間報告が出ている)で、2011年9月にIndependent Commission on Bankingによって発表された。
 ヴィッカーズ報告の一番の特徴は、商業銀行と投資銀行のあいだにリング・フェンスを張って2つの業務を分離独立させるというもの。この点でアメリカのグラス=スティーガル法 (1933年) の方針を継承している。 注目すべきは、これがたんなる報告書に終わっておらず、政府がこの勧告のほとんどを承認するかたちで、法案の制定に向けての活動が展開している点である。骨格は、商業銀行と投資銀行のあいだに「リング・フェンス」を張ることで、前者の預金を後者が投機的目的に使用することを防止しようとするものである。アメリカでのグラス=スティーガル法と精神において似ているが、両銀行の分離ではなく「フェンス」を張るという点が異なる。もう1点は、イギリス銀行の「損失吸収力」を高めるという特色を有している。 政府は、2015年5月までに「リング・フェンス」に関連する政策および法案の提出を明言している。そしてその後、ただちに銀行にたいしてはそれに応じた変革の実施を行うことを要請している。さらに「損失吸収力」については2019年までに完成することを明言している。

EU - ユーロ圏は、ヴォルカー・ルールをとるべきか、リング・フェンス方式をとるべきか (ドイツは3月に、「リング・フェンス法」を下院に提出した。これは「リッカネン報告」に応じるかたちになっている。ECBはリング・フェンス方式に懐疑的である)、あるいは双方を取り入れるべきかを考慮中である。さらに「バンキング・ユニオン構想」(EUの一番好むものだが実現は至難) やトービン税 (金融取引税) が浮上している。
 以下では一番進行している金融取引税 (FTT) について述べる13。
これはEC(欧州委員会) によって提案されたもので、2014年1月までにEUのなかで希望する国(現在11カ国)で設定されることになっている。
株式や債権の取引にたいしては0.1%、デリヴァティブには0.01%が課税される。
これは銀行課税(bank levy) - いくつかの国が将来生じうるベイルアウトにたいし、それを保証するものとして銀行にかける税 - とは異なる。
2010年6月に初めて討議されたが、EU全体でのFFTはうまくいかず、2012年10月、ECは、参加希望国には「増強された協力」(enhanced co-operation) が認められるという提案に変更した。11のEUメンバー国が賛成して2012年12月に欧州議会で承認された。2013年2月、ECは多少変更された案を提出。7月に欧州議会で承認された。これが実施されるには、参加国全員の承認が必要となっている、というのが現時点での状況である。
だが、EUにとっては、金融規制改革はトップ・プライオリティの問題ではない。ユーロ・システムの危機的状況が続いており、それはシステム自体のもつ固有の問題に根ざしている。