2013年8月23日金曜日

ドッド=フランク法の現状 ― 2013年7月

ドッド=フランク法の現状 ― 2013年7月

ドッド=フランク法の現状は次のようになっている (7月11日に開かれた上院での委員会におけるFRB理事タルッロによる証言に基づく)。
 全体的には相当進行しており、ほとんどのドッド=フランク法の主要条項のルール策定プロセスは終了しようとしている。すでに最終決定がなされ、実行に移されているものもあれば、企業や市場がルールに慣れるのに移行期間を設けているものもある。またいくつかのものは数ヶ月ほどで完了するであろう。

・バーゼルIIIによる資本ルールの遂行
7月、FRB、OCC、FDICは、アメリカでのこの実施に向けての総合的な規制資本枠組みについての最終案に同意した。ただし、大金融機関には2014年1月までの猶予期間、中小金融機関には2015年1月までの猶予期間が与えられている。
・大銀行へのストレス・テストおよび資本計画の要求今秋、フルセットのストレス・テスト要求を資産500億ドル以上の (10数行の) 銀行機関に拡張することが予定されている。
・大銀行への堅実性向上の要求
  解体計画およびストレス・テストについての規則はすでに決定されている。・大銀行の破綻処理の実行可能性の改善 「秩序ある解体機構」 (OLA) が設置され、そのもとでFDIC は、株主および債権者に損失を負担させ、経営陣を入れ替え、他方、健全な部分の運営は残すかたちで金融機関を分解することができる。
  
・銀行機関の構造改革キーとなるのは、ヴォルカー・ルール [自己売買の禁止] とデリヴァティブ排除条項 [リンカーン条項の領域]である。 ヴォルカー・ルール ― FRBおよびSECは共同で2011年秋ヴォルカー・ルールを実施する規則を提案した。CFTCも数ヵ月後に同様の提案をしたが、実現に至っていない。ヴォルカー・ルールは本年末までに完成することが期待されている。デリヴァティブ排除条項 ― 2013年7月16日に実行に移される。ただし、uninsuredの外国銀行のアメリカ支店にはすぐに適用されるが、預金保証機関は2年間の延長を要求することができる。

・シャドウ・バンキング・システム対策極度にレヴァレッジを用いる金融機関への巨額の短期資金調達を防止する対策。とくにノン・バンクの2つの機関 (AIGはその1つ)がその対象として今週指定された。

・単独での相対取引 (OTC) への貸付額規制問題 ― 検討中・FRB、CFPB、FDIC、FHFA、NCUA, OCCは高度のリスク性のある不動産ローンについての評価要請を実施する最終規則を発した。

ドッド=フランク法(金融規制改革)の目玉の1つである「消費者金融保護局」であるが、その局長にオバマはリチャード・コードレイを指名したのが既述のように2011年7月のことであったが、共和党はそれにたいしても反対の論陣を張り続けた。オバマはこの事態に直面して、2012年1月の「リセス・アポイントメント」により、コードレイを就任させることになった。ここに、CFPBはようやくトップを得たことで「動き始めた」ことになる(それまでは動けなかった。ドッド=フランク法が制定されてから1年半が経過しようとしていた)。 だが、上院ではその後も共和党が中心となってコードレイの局長就任を認めないまま2013年の7月を迎えたのである (その間、さらに1年半が経過している)。
 7月になり、民主党の上院リーダー、ハリー・リードがいわゆる「原爆オプション」なるものを出すとの脅しをかけた。これにより、共和党も妥協もしくは休戦に同意し、7月16日、コードレイをCFPBの局長として承認することになった次第である。金融規制改革の実施はおくれにおくれて今日に至っている。そのことを象徴するできごとである。