2013年8月26日月曜日

ドイツとフランス関係考 ーヨーロッパ統合理念のゆらぎ(つぶやき)

ドイツとフランス関係考 ーヨーロッパ統合理念のゆらぎ(つぶやき)

ヨーロッパの2大大国は長い闘争の歴史をもっている。19世紀中葉以降に限定してみると、普仏戦争でフランスが敗れ、アルザスーロレーヌの割譲と賠償金、それに屈辱的なことにベルサイユ宮殿でドイツ帝国が誕生するということになった。以降、遅れて生まれたドイツの帝国領土拡張運動は、イギリスとの対立へと発展し、第1次大戦の主たる原因となった。ドイツは敗れ、フランスはアルザスーロレーヌの奪還と賠償金要求の先頭に立った。しかし、ドイツは敗れたという意識は薄く、戦間期の大混乱のなか、ついにはヒトラーの台頭をもたらし、ふたたびヨーロッパは第2次大戦に突き進んだ。
 フランスは戦わずしてナチスの占領下におかれ(ビッシー政権)、フランスが解放されるのはアメリカ軍によるノルマンディ作戦の後のことである。このことはフランスの精神構造に屈折した影響を与えている。フランスがビッシー政権のことに触れることはなく、触れるとするとレジスタンス運動を英雄視する行動をとってきたのである。
 片やドイツはというと、第2次大戦後、ナチス、ヒトラーを断罪し、贖罪観に満ちた行動をとってきたのだが、ほとんどのドイツ人がナチスを讃美して動いていたという事実が問われることはなかった。
 こうした屈折したヨーロッパの2大国が、戦後、ヨーロッパ統合の運動に歩みを始めるというのは、画期的なことであった。ECSCに始まり、マーシャル・プランに助けられながら、統一ヨーロッパというかたちで戦後のヨーロッパ史が刻まれてきたのである。
 そのヨーロッパがユーロ・システムの導入が思わぬ破裂をもたらすことになるとは、2000年頃には考えもしなかったことである。しかし、いまやドイツだけがユーロ圏、ならびにEUの支配的権力を握るかのような事態に進展し、他方、フランスは経済的不振が浮き彫りになり、急速にPIGS的様相を帯びてきている。
 ユーロ圏指導部はユーロ危機に対処するのに、ひたすらユーロ・システムの維持を最優先し、そのためにのみベイルアウトを行い(それは当該国の財政状況を救うだけではなく、ドイツ・フランスなどの大手銀行を救う行為であった)、その代償として関係国に超緊縮財政を要求するという戦術をあらわにしていったのである。当初は独仏はこの路線をメルコジとして共同してリードしたいたのだが、いまやドイツ一国がフィスカル・ユニオンにむけてまい進しているありさまである。
 この政策の顕著な特徴は、ユーロ指導部のユーロ・システム死守とメンバー国の国民無視である。その結果、ユーロ・メンバー国の大半は反ドイツ的心情に陥っていることが顕著である。技術的修正により中央集権化を推し進めようとするドイツとは裏腹に、メンバー国はナショナリズム的動きを強めているのが現状である。そして悲劇的なのは、こうした動きを解消させる方策を指導国がまったくもってもちあわせていないことである。ハーメルンの笛吹き状態が現出している。
 (ロンドンでBBCをみていたときに、イギリスでもEUとの関係をめぐる問題が大きく取りざたされていた。そのさいに、ギリシア人の怒りが紹介されていた。それは「ギリシアがナチスに支配され、多くの犠牲者が出たのに、ドイツはそれにたいする正当な賠償をしないできたばかりか、いまや超緊縮財政を強要してギリシアを苦しめている」という内容のものであった。)

いえることは、メンバーのだれもが不快で不満をいだいているなかで、ドイツが「統合、統合」と叫んでも、その結果生まれるものは、非常にグロテスクなものとなり、たとえ成立したとしてもすぐにもっと大きな問題を抱えることになるだろうということである。
 
(EUはかつての共同から、大国意識を振りかざし始めていたことも忘れてはならない。冷戦構造の終結により東欧圏がソ連システムから離脱するなか、その市場を取り込もうとして拡大化路線をとることになり、いまや27カ国ものメンバーを包摂しているのである[このことを最もきらっているのはプーチンであろう。彼は奪われたロシアの影響力を取り戻したがっている]。その結果、皮肉なことにEUのもつ意義がかつてのような純粋なものではなくなってしまっているのである。)

第2次大戦の禍根は日韓中だけではない。ヨーロッパも同様に根深い問題をもち、しこりを残した状況にある。これらの国が友好的にやっていくのに、過去を洗いざらいにして議論するのがよいのか、それともそうした微妙な心の琴線に触れるような問題は避けるようにした方がいいのか、だれしもなかなか簡単に割り切ってこたえきれる問題ではないように思われる。人間社会というのは、ある基底を踏み破ると、非常にドロドロしたマグマ状態にあるともいえ、そうであれば、その底まで到達してみない方が、世俗的に幸せに暮らせるという見方もあるだろう。おそらくは、永遠に解決のできない人間社会のもつ問題(それが心理的に深く傷つけられていればいるほど)なのであろう。

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Eurozone crisis sees Franco-German axis crumbling
Poll results underline the sense of estrangement between Paris and Berlin as the two countries' economic prospects diverge
o Ian Traynor in Brussels
o guardian.co.uk, Tuesday 14 May 2013 10.37 BST

When it comes to grim reading about the current European condition, it does not rain but it pours.
The latest catalogue of unremitting gloom (unless you're a German) comes in a 49-page survey of public opinion in eight EU countries conducted in March by Pew pollsters.
The results show support for the EU has shrunk from 60 to 45% in a year on average across the eight countries.
The more detailed findings are that public support for EU integration has eroded strongly, with Germans alone in favour of handing more powers to Brussels to tackle the four-year economic and financial crisis that is severely sapping EU confidence and reinforcing the sense of inexorable medium-term decline.
"Positive views of the EU are at or near their low point in most of the countries surveyed, even among the young," said the pollsters, who talked to nearly 8,000 people.
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