C.U.(国際清算同盟案)とS.F.(ホワイト案)についてのケインズの覚書 (1943.4.16)
1.投票権についてはあまりこだわっていない。ただすべての議決に5分の4の多数決が必要とするというSFのルールには問題があるとし、たとえば特定の議題については4分の3くらいにし、そのほかは単純多数決でいけばよい。
2.金の扱いをめぐってはメディアが騒いでいるほど、両案に相違はない。ただし、SFにはユニタスの金価値を変更する条項がない。
ユニタスは何の目的にもいまの規定では役立たないものなので、ユニタスを活性化することが必要である。
3.SFには多数国間決済の条項がないので、そうできるように改めるべきであるが、しかしそうするようにするのはなかなか難しい。
4.The fundamental difficulty would be with the SF set-up that the rights of debtor countries to acquire particular creditor currencies might be far in excess of the capacity of the Fund to furnish such currencies. p.247
5.「異常な戦争残高」問題。これはいわゆるスターリング残高問題である。戦争遂行によりたとえばインドに巨額の負債を背負うことになっており、これがたとえばドル(scarce currency)に代えられるようなことがあれば、イギリスは大きな困難に直面することになる。そのことに関連しての話。
6.希少通貨の割り当て
Without this provision the logic of the whole schem breaks down, and it would be very difficult to concoct a woriking alternative.
7.拠出資本 vs 銀行主義
this is the most fundamental issue and the one on which we should be slowest to compromise.
銀行主義の立場にこだわるべきである。これができれば他のことはすべて妥協できると述べているほどである。
If we culd hold firm on the banking principle, we might compromise freely on everything else.
****メモ
ケインズ案では、すべての対外取引は中央銀行のバンコール勘定に持ち込まれる。そこに行く過程で業者は代金を固定レートで受け取ったり、支払ったりする。つまり、売り手と買い手が参加する外為市場で為替レートが決まる今日のような変動為替相場は意味をなさない。もちろん個人が外貨を両替することはできるが、それも固定されたレートで行われるだけになるであろう。
ホワイト案では、メンバー国政府は自国の外為市場を監視して、平価を逸脱するような事態にたいしては責任をもって介入をすることが義務付けられることになる。実際、これが1970年のニクソン・ショックまでとられていたシステムであった。