2013年8月26日月曜日

1944年4月22日のケインズの説明をどう受け取るか

1944年4月22日のケインズの説明をどう受け取るか

これは米英あいだでの国際通貨体制の設立をめぐる最終合意書にケインズがつけた説明であり、それは前年(1943年4月7日)に発表された、ICU案との比較をすることで国民の理解を得ようとしたものである。
 したがって当然、この合意書に肯定的に当たるのは、関係者として当然であるとはいえるが、それにしても、書かれていることは、これまでの交渉経緯、そしていくつかの争点から考えると、けっしてイギリス側、そしてケインズの思っていたものとは相当程度異なったものになっていたと思うのだが、書かれていることは、全面的な賛成の文書になっている。

たとえば最初にICU案とSF案との基本的な相違点が記された後、実質上同じであると述べている。しかもSF案の方が同意を得やすいとまで述べられている。

The two arrangements represent alternative technical set-ups capable of performing precisely the same functions.The same purposes and provisions in all other respects can be carried into effect under the one as under the other. It has, however, proved easier to obtain agreement on the mechanism of the proposed Fund ...p.437

だから、もはや新たな国際単位を導入する必要はなくなっている、と述べている。

As a consequence of this, it is no longer necessary to introduce a new international unit, whether bancor or unitas, ... p.438

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しかし、1943年4月頃より、ユニタスを貨幣化させようとしてケインズ側はさかにホワイトを説得しようと努めたが、結局はたすことができなかったということを考えると、上記の説明はとうてい納得のいくものではない。

それにケインズ側が強く希望していた他の検討事項、たとえば5分の4多数決の変更要請、拠出金の25%を金で拠出することの変更要請も、最終案には反映されていない。

にもかからわず、説明文は次のような言葉で終わっている。

In most other respects the genral aims and purposes of the new scheme are the same as those set forth in Cmd.6437 in presenting the Cearing Union Proposals pp.442-443.

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ケインズの内心は次のようなものであったと想像する(といっても根拠はある)。

イギリスの財務状況が悲惨な状態にあり、アメリカからの援助が得られ続けるという確約を得ることができなければ大英帝国は解体する。だからこのことを前提にすれば、何が何でもアメリカ側の提案する通貨体制をもう飲むしかない。これを反故にするという原理的立場は捨てなければならない。残念だが・・・